神社のルーツ

神社のルーツ
- 戸部民夫
- ソフトバンククリエイティブ
- 735円
livedoor BOOKS
書評/宗教・哲学

この本を読み始めてから、ドライブの楽しみがひとつ増えた。
カーナビのソフトを作っているメーカーの方針なのかは知らないが、使っているカーナビの画面には、地図を縮小した状態でも、かなりの確率で神社の名前が表示される。たとえば、昨日スキーに向かう途中で「貴船神社」の名前が国道沿いに表示されていた。そうすると、今までならあまり気にすることもなかったのだが、「おお!貴船系の神社は水神さまを祀っていて、水源を尊重する農民の祈りがきっと今も残っているのだな」などと、想像を膨らませることができるようになった。
八百万の神の国、日本。そのいたるところに分布する神社を、「都市」「山」「海」「武・文・人神」の4つの血統、25の系に分類して、歴史学や宗教学に詳しくない人でもわかりやすくまとめた好著。
日本人にとっての「神様」は生活に密着し、農村なら五穀豊穣や病害虫からの保護、漁村なら海上での安全、のように自分たちの営みを守る存在として尊ばれてきた。
しかし、海の血統に分類される神様を祀った名前をもつ神社が、内陸部にあることもよくある。これは、海が持つ生命のイメージから、安産の神様としても大切にされてきたことによる。
このように、神社を系統的に分類すると言っても、永い歴史の中で仏教との関係や政治的理由などにより、スッキリと割り切れるものではない。水の神様と山の神様が一体となっていたりして、混沌としているのだ。そのことを踏まえたうえで、作者は丁寧に神社を分類していく。
同じような名前の神社があちこちにあり、それらの名前にはきっと由来があるんだろうけどどういうことなんだろう・・・という素朴な疑問を持っていたが、この本を読んで、解決した。
まずなにより、日本中に張り巡らされた幾つもの「神様ネットワーク」の規模の大きさに驚かされた。巻頭で紹介されている稲荷系の神社は3万2000、名もない小社まで含めれば4万とも5万とも言われるそうだ。他にも八幡系や住吉系など、大規模なネットワークを持つ神社が数多く存在するのだから、つくづく日本は八百万(やおよろず)の神の国であることを実感する。
紹介される25の系には、それぞれ全国の代表的な神社が紹介されており、自分の住んでいる・住んでいた地域の神社が紹介されていると、熱心に読み入ってしまう。
また、神社の名前の由来や別名の紹介の中から、日本各地の地名には、今まで知らなかったけれど神社に関係した名前が数多くあることを知り、改めて日本人の生活と神様たちのつながりの深さを実感させられる。
旅行の時など、この本を持ち歩いて、その土地の神社が持つルーツを辿り、その土地で暮らしてきた人々の生活に思いを馳せるのもまた、楽しそうだ。
欲を言えば、それぞれの系ごとの神社分布図や、発展の系図、神社ネットワークの規模など、把握できている範囲でいいので、資料として図表を提示してくれるとさらに理解が深まったように思える。混沌とした神様ネットワークだけに、これは望みすぎなのかもしれないが、その期待をこめて星4つ。
評価(★5つで満点):★★★★
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神社のルーツ/戸部民夫
「本が好き!」参加8冊目はこちら「神社のルーツ」。 神社を例えば「稲荷系」「祇園津島系」「西宮(恵比寿)系」等と系統立て、特徴・信仰のルーツ、主だった神社を挙げて内容をまとめたもの。 この厚さを考えるとよくまとめてあるな…って思います。観光地に行った際も

