1歩進んで2歩下がる。

エンド・クレジットに最適な夏


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書評/ミステリ・サスペンス


東京創元社のミステリ・フロンティアシリーズの第33回配本作品。ちなみに、第1回配本は映画化された伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」。

冒頭、解体工事のバイト先でもらってきたドッグフードを食べ、「塩胡椒をたっぷり振ったら何とか食べられそうだな」とか「これでかなり食費が浮くな」と話すシーンからして、主人公・晴也の貧乏学生っぷりが出ていて、いい感じに引き込まれていってしまった。


晴也は、報酬つきの人助けを引き受けることになる。ストーカーに悩む女子学生を助けるのが最初の目的だったのだけど、トラブルがトラブルを呼び、危ない目に遭いながらも問題を解決していく。
スピード感ある展開に「おお、そうきたか!」とワクワクしながら読み進むことができた。


全体的に楽しく読めたのだけど、主人公の晴也が、次々に飛び込む問題をわりとスムーズに解決していってしまうので、ちょっと物足りない感じもしてしまう。せっかく主人公が貧乏学生なんだから、そのキャラクターを活かして、もっとしょうもないことに悩みながら迷走する姿を描いてくれたら、読んでいてもっと感情移入できるのになあ・・・と感じてしまった。

ということで、星3つ。
評価(★5つで満点):★★★

ハイドラ


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書評/国内純文学


主人公の早希は決して売れているとはいえないファッションモデルで、売れっ子カメラマンの新崎と同棲している。
といっても、年齢の離れた二人の同棲生活はあまりハッピーなものではなく、暗い印象を与える。

仕向けられたような恋愛によって、今までの生活で感じたことのなかった感情に戸惑いつつも心を躍らせる早希の様子に、僕はまったく共感することができなかった。

まだ若い女の子の恋心を理解できない時点で、すっかり自分もおっさんか、となかなかに悲しい気持ちにはなるのだけれど、どうも「ちょっとなぁ」と感じてしまう部分が多かった。

毎晩、コンビニで大量の食品を買い込み、噛み砕いては吐き出すことを繰り返す早希の行動が、厳密に拒食症にあたるのかどうかはわからないけれど、この病的な行動に嫌悪感を感じてしまった。
「痩せていること=美しいこと」という呪縛に囚われて無理なダイエットをする女性の話を聞くたびに僕は悲しく暗い気持ちになる。
早希の場合は、痩せすぎてしまった自分の身体を不気味なものと感じており、それでも食を拒み続ける。噛み砕いては吐き出す場面が描かれるたびに、イヤな気持ちになってしまった。


そして、小説を読む楽しみである、登場人物への感情移入が難しかった。
上述のような理由で、主人公・早希の行動に嫌悪感を持ってしまったが、ただ独りよがりでありながら流されるがままに思えてしまう早希に、年代も性別も違うことを差し引いても共感とか感情移入をすることができなかった。
早希を取り巻く登場人物についても、魅力的な人物がいるわけでも、憎みたくなるほどのイヤな奴が出てくるわけでもなく、物語としての厚みを感じることができなかった。


考えてみれば、恋愛模様ってものは人それぞれに違って当たり前で、きっと誰もが、自分の恋愛はちょっと特別だと思っていたり、思いたがっていたりするんじゃないだろうか。それは年代も性別も、きっと関係なく。
だけど、誰かに恋愛を相談したり、恋愛をテーマにした映画とか小説とか歌詞に共感したりといったことができるのは、それぞれに体験は断絶していながらもどこかで通ずる部分を見つけているのではないだろうか。

僕のこの仮定が正しかったとすればだけど、早希の恋の様子も、独りよがりな自問自答も、僕という読み手が共感できるような箇所がなかったんだろうなあ、と思う。
30代のおっさんは相手にしていない、と言われてしまえばそれまでなのだけど。
そう考えると、恋愛小説はターゲットをぎっちり絞り込まないと書けないものなんだなあ・・・作家って大変だなあ。


金原さんの作品を読むのは初めてで、若くして芥川賞を取った作家ということで期待していただけにとても残念ではあったが、星1つ。

評価(★5つで満点):

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